原子炉の暴走事故(高木仁三郎(1938-2000)
いままでこうした事故の想定は原子炉の事故解析や安全審査などでまともにやられてきたことはないのです。事故の形態としては、「反応度事故」という形態に属しますが、ここまでいくとは考えていなかった。
反応度事故というのは、簡単にいえば、冷却材喪失事故が、原子炉の制御そのものはできるけれども、なおかつ冷却に失敗して放射能漏れが起こる事故とすれば、反応度事故は、原子炉をうまく止められないとか、出力の調節に失敗するといった、制御そのものにかかわる事故のことです。
出力というのは、中性子の数といってもいいのですが、その調節に失敗する。その中性子の数の増減の割合を反応度といっていますので、反応度事故という言い方をするのです。
制御に失敗しての暴走という事故の性格からして、冷却材喪失事故より一層す速く事故が進行するのは明らかです。」
(高木仁三郎(1938-2000)『高木仁三郎著作集 第一巻 脱原発へ歩みだすⅠ』原発事故―――日本では? 第3章 原発事故の二つの形、p.289)
(高木仁三郎(1938-2000)『高木仁三郎著作集 第一巻 脱原発へ歩みだすⅠ』原発事故―――日本では? 第3章 原発事故の二つの形、p.289)