人に関する有益な情報は、単純に本人に尋ねることによって最も直接的に得られる可能性がある(ウォルター・ミシェル(1930-2018)
「面接や、専門家たちによる統合的な全体評定は、自己報告の正確さには遠く及ばなかった(Mischel.1965)。
つまり、人に関する有益な情報は、単純に本人に尋ねることによって最も直接的に得られる可能性がある(例:Cantor & Kihlstrom,1987; Emmons,1997)。
こうした結論は、学業成績、職業上の成功、心理療法における治療の結果、精神病患者の再入院、非行少年の宣誓釈放違反など、さまざまな分野に当てはまるように思われる(Emmons,1997; Mischel,1981b; Rorer,1990)。
要するに、ある条件下において、人は自分の行動を、少なくとも専門家と同じくらい正確に報告できる可能性がある。
もちろん、人は常に自分の行動を正確に予測するわけではない。自分自身の行動を予告するための情報や動機づけに欠けることもあるだろうし、わかってはいても、それを口外しないよう動機づけられていることもあるだろう。
犯罪者が再び盗みを計画していても、裁判の途中で検察官の尋問に対してそれを言うとは考えられない。
さらに、未来の行動の多くは、例えば他の人々や自己など、人の統制が及ばない変数によって決まる可能性もある。
とはいえ、得られた結果は、自己推定や自己予測が有益な評価ツールであることを強く示唆するものといえるだろう。」
(ウォルター・ミシェル(1930-2018),オズレム・アイダック,ショウダ・ユウイチ『パーソナリティ心理学』第Ⅴ部 現象学的・人間性レベル、第13章 内面へのまなざし、p.409、培風館 (2010)、黒沢香(監訳)・原島雅之(監訳)
【中古】パーソナリティ心理学—全体としての人間の理解 / ミシェル ウォルター ショウダユウイチ アイダック オズレム 黒沢香 原島雅之 / 培風館 |