2018年2月27日火曜日

わたしたちは、情念を巧みに操縦し、その引き起こす悪を十分耐えやすいものにし、情念のすべてから喜びを引き出すような知恵を持つことができる。(ルネ・デカルト(1596-1650))

情念から喜びを引き出す

【わたしたちは、情念を巧みに操縦し、その引き起こす悪を十分耐えやすいものにし、情念のすべてから喜びを引き出すような知恵を持つことができる。(ルネ・デカルト(1596-1650))】
 精神は精神独自の快楽を持ちうる。だが、精神が身体と共有する快楽については、まったく情念に依存する。わたしたちは、情念を巧みに操縦し、その引き起こす悪を十分耐えやすいものにし、情念のすべてから喜びを引き出すような知恵を持つことができる。このようにして、情念に最も動かされる人間は、人生において最もよく心地よさを味わうことができるようになる。
 「精神は精神独自の快楽を持ちうる。だが、精神が身体と共有する快楽については、まったく情念に依存するものであり、したがって、情念に最も動かされる人間は、人生において最もよく心地よさを味わうことができる。たしかに、かれらは、情念をよく用いることを心得ておらず、偶然的運にも恵まれない場合には、人生においてまた最大の辛さを見出すかもしれない。けれども、知恵の主要な有用性は、次のことにある。すなわち、みずからを情念の主人となして、情念を巧みに操縦することを教え、かくして、情念の引き起こす悪を十分耐えやすいものにし、さらには、それらすべてから喜びを引き出すようにするのである。」
(ルネ・デカルト(1596-1650)『情念論』第三部 二一二、pp.180-181、[谷川多佳子・2008])
(索引:情念)

情念論 (岩波文庫)



哲学の再構築 ルネ・デカルト(1596-1650)まとめ&更新情報 (1)存在論
(目次)
 1.なぜ、哲学をここから始める必要があるのか
 2.私は存在する
 3.私でないものが、存在する
 4.精神と身体
 5.私(精神)のなかに見出されるもの

ルネ・デカルト(1596-1650)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)
(出典:wikipedia
 「その第一の部門は形而上学で、認識の諸原理を含み、これには神の主なる属性、我々の心の非物質性、および我々のうちにある一切の明白にして単純な概念の解明が属します。第二の部門は自然学で、そこでは物質的事物の真の諸原理を見出したのち、全般的には全宇宙がいかに構成されているかを、次いで個々にわたっては、この地球および最もふつうにその廻りに見出されるあらゆる物体、空気・水・火・磁体その他の鉱物の本性が、いかなるものであるかを調べます。これに続いて同じく個々について、植物・動物の本性、とくに人間の本性を調べることも必要で、これによって人間にとって有用な他の学問を、後になって見出すことが可能になります。かようにして、哲学全体は一つの樹木のごときもので、その根は形而上学、幹は自然学、そしてこの幹から出ている枝は、他のあらゆる諸学なのですが、後者は結局三つの主要な学に帰着します。即ち医学、機械学および道徳、ただし私が言うのは、他の諸学の完全な認識を前提とする窮極の知恵であるところの、最高かつ最完全な道徳のことです。ところで我々が果実を収穫するのは、木の根からでも幹からでもなく、枝の先からであるように、哲学の主なる効用も、我々が最後に至って始めて学び得るような部分の効用に依存します。」
(ルネ・デカルト(1596-1650)『哲学原理』仏訳者への著者の書簡、pp.23-24、[桂寿一・1964])

ルネ・デカルト(1596-1650)
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