2018年5月29日火曜日

論理的な項を数で表現することにより、推論の代わりに計算によって、証明されるべき命題を発見したり、証明したりすることができる。数の有用さは絶大である。確実で扱い易い。(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716))

記号数

【論理的な項を数で表現することにより、推論の代わりに計算によって、証明されるべき命題を発見したり、証明したりすることができる。数の有用さは絶大である。確実で扱い易い。(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716))】
 世界の構成要素を項で表現し、推論規則によって論理的な項を操作する代わりに、項を数で表現することにより、推論の代わりに計算によって、証明されるべき命題を発見したり、証明したりすることができる。数の有用さは絶大である。確実で扱い易い。
(1)任意の項に、その「記号数」を指定する。
(2)合成された項の記号数は、その項の概念を合成する項の記号数をかけ合わせることにより作られる。
 例えば、”動物”の数aが2、”理性的”の数rが3のとき、人間の数hはar、この例では6となる。
(3)構成部分をあげることが困難な場合には、暫定的にその事物にある素数を指定する。
「三――任意の項にその記号数(numerus characteristicus)を指定することにする。それは、項自身が推論において働くのと同じように、計算において働く。私は記述において数を選ぶ。他の記号は時に応じて数と言葉のために用いよう。しかし数の有用さは絶大である。確実で扱い易い。そして概念におけるすべては数の形で確実となり、決定されることが明らかである。
 四――適切な記号数を発見するための規則は次の規則だけである:与えられた項の概念が直格において(in casu recto)二つあるいはより多くの他の項の概念から合成されている時は、与えられた項の記号数はその項の概念を合成する項の記号数をかけ合わせることにより作られる。例えば人間は理性的動物である故(金は最も重い金属である故)”動物”の数aが2(”金属”の数mが3)、”理性的”の数rが3(”最も重い”の数pが5)とすれば、人間の数hはar、この例では2、3即ち6にほかならないであろう(金即ち太陽の数sはmp、この例では3、5即ち15にほかならない)。」(中略)
「六――のみならず4で述べられた規則は、われわれの計算によって全世界のすべての事物を捉えるのに十分である。ただしそれらについてわれわれが判明な概念を持つ、即ち、それらの構成部分を認識し、その構成部分を一つずつ検査することによって、概念を他の概念から区別することができるか、あるいはそれらの概念の定義を与えることができる限りにおいてである。実際、これらの構成部分は項にほかならず、その概念が、事物についてわれわれの所有する概念を構成するのである。さらにわれわれは多くの事物を他の事物から構成部分によって区別することができる。そして、構成部分をあげることが困難な場合には、暫定的にその事物にある素数を指定することにする、われわれはその事物によって他の事物を表示するために素数を使用するのである。このようにして少なくとも差当り原初的なものと考えられた事物の分解なしで証明されるすべての命題を計算によって発見したり、証明したりすることができる。」
(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716)『計算の原理(一六七九)』三、四、六、ライプニッツ著作集1、pp.63-65、[澤口昭聿・1988])
(索引:記号数)

論理学 (ライプニッツ著作集)


(出典:wikipedia
ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「すべての実体は一つの全たき世界のようなもの、神をうつす鏡もしくは全宇宙をうつす鏡のようなものである。実体はそれぞれ自分の流儀に従って宇宙を表出するが、それはちょうど、同一の都市がそれを眺める人の位置が違っているのに応じて、さまざまに表現されるようなものである。そこでいわば、宇宙は存在している実体の数だけ倍増化され、神の栄光も同様に、神のわざについてお互いに異なっている表現の数だけ倍増化されることになる。また、どの実体も神の無限な知恵と全能という特性をいくぶんか具えており、できる限り神を模倣している、とさえ言える。というのは、実体はたとえ混雑していても、過去、現在、未来における宇宙の出来事のすべてを表出しており、このことは無限の表象ないしは無限の認識にいささか似ているからである。ところで、他のすべての実体もそれなりにこの実体を表出し、これに適応しているので、この実体は創造者の全能を模倣して、他のすべての実体に自分の力を及ぼしていると言うことができる。」
(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716)『形而上学叙説』九、ライプニッツ著作集8、pp.155-156、[西谷裕作・1990])

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