人間精神の自由な創造物
【概念の世界は「先験的必然」でもなければ、論理的方法によって経験から導出し得るものでもなく、人間精神の一つの自由な創造物である。しかし、概念体系の妥当性の唯一の理由は、事実と経験による検証である。(アルベルト・アインシュタイン(1879-1955))】「われわれの概念、および概念の体系が妥当であるという唯一の理由は、それらがわれわれの経験の集成を表現するのに役立つという点にある。これ以上には、概念や概念の体系は何らの妥当性を持ちえない。哲学者たちは、ある種の基本的な概念を、それを制御しうる経験領域から、“先験的必然”という捉え難い高所へ運ぶことによって、科学的思考の進歩に対して1つの有害な影響を与えたと私は信じる。なぜなら、概念の世界は、経験から論理的方法によっては導きえられず、ただ、ある意味で、人間精神――それなくして科学はありえない――の1つの創造物に過ぎないと思われるとしても、それにもかかわらず、この概念の世界は、ちょうど着物の形が人間の体の形をしているのと同様、われわれの経験の性質と密接な関係にある。このことは、とくにわれわれの空間と時間の概念に対してもほんとうであって、物理学者たちは、これらを修理し、ふたたび使用可能な状態におくために、これらを“先験的必然”の神殿からひきずり下ろすことを、事実によって余儀なくされてきたのである。」
(アルベルト・アインシュタイン(1879-1955)『相対論の意味』pp.12-13)
(索引:人間精神の自由な創造物)
(出典:wikipedia)
アルベルト・アインシュタイン(1879-1955)
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