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2018年8月9日木曜日

皮膚への単発の有効な刺激に対して、14~50ms後に初期EP(誘発電位)が生じ、その後ERP(事象関連電位)が生じる。初期EPは、意識感覚の必要条件でも十分条件でもない。ERPが意識感覚と関連している。(ベンジャミン・リベット(1916-2007))

初期誘発電位(初期EP)と事象関連電位(ERP)

【皮膚への単発の有効な刺激に対して、14~50ms後に初期EP(誘発電位)が生じ、その後ERP(事象関連電位)が生じる。初期EPは、意識感覚の必要条件でも十分条件でもない。ERPが意識感覚と関連している。(ベンジャミン・リベット(1916-2007))】

意識的な皮膚感覚
 ↑
 │
事象関連電位(ERP)と呼ばれる皮質の一連の電気変化
 ↑意識感覚を生み出すために、500ms以上の間持続することが必要である。
 │全身麻酔状態にある場合、ERPは消失する。
 │皮膚パルスの強さを、意識できないレベルまで下げると、ERPは突然消失する。
 │
皮膚領域が「投射する」感覚皮質の特定の小さな領域で、初期EP(誘発電位)が局所的に発生する。
 ↑短い経路で14~20ms、長い経路で40~50ms後。
 │初期EPが無くとも、意識感覚は生み出せる。
 │初期EPがあっても、意識感覚は生み出せない。
 │
 │速い特定の投射経路を通っていく。
 │
単発の有効な皮膚への刺激パルス

 「第一番目の証拠は、皮膚への単発の《有効な》刺激に対する大脳皮質の電気反応についてです。各々の単発のパルスによって、誘発電位(EP)または事象関連電位(ERP)と呼ばれる皮質の一連の電気変化が生じることは、すでに見つかっていました。これらのERPが、皮質内での神経細胞の反応を反映していることは研究によって示されています。
 ここにはさまざまな重要なコンポーネントがあります。まず、刺激を受けた皮膚領域が「投射する」感覚皮質の特定の小さな領域で、初期EPが局所的に発生します。この初期EPを起こす入力が、前に述べた速い特定の投射経路を通っていくのです。初期EPは、皮膚パルスの後、ほんの数十ミリ秒間の遅れの後に始まります。たとえば頭からのように、距離の短い経路の場合、14~20ミリ秒間の遅延の後に始まり、足からの長い経路の場合は40~50ミリ秒間かかることがあります。初期EPのサイズまたは振幅は皮膚からの入力の強さに関係して決まります。
 初期EPの驚くべき特性というのは、これが意識感覚を引き出すための必要条件でも十分条件でもないことです。必要でないことがわかった理由は、感覚皮質の表面に微弱な刺激を与えると意識感覚を引き出すことができることでした。この皮質刺激は、初期EPと同等の、いかなる誘発電気反応も生み出しません。初期EPは下から感覚経路を通って皮質に伝えられる入力によってのみ、生じるのです。
 一方、特定の感覚経路のうち《脳の中に位置する部分》のどこにでも《単発の》刺激パルスを与えると、感覚皮質の初期EP反応を確かに引き出します。しかし、この単発のパルスは主観的な感覚をまったく引き出しません。これは、パルスが比較的強く、誘発された初期EP反応が大きかった場合ですら、このことには変わりがありません(リベット他(1968年))。第一次感覚経路からの反応が(単発で)意識感覚を引き出すことができないことを、ジャスパーとバートランド(1966年)も観察しています。すでに述べてきたように、意識を伴う感覚を得るには、感覚皮質へ刺激を与える場合と同じように、この経路に刺激パルスが反復的に与えられなければならないのです。(皮膚へのパルス刺激に対して)最初に起こる皮質の初期反応によって意識感覚が生じない以上、アウェアネスを実現するには後から起こるいくつかの反応コンポーネントが必要ということになります。実際、皮膚への単発のパルスは、記録された皮質の電気反応の中で、最初に誘発された反応に加えて、後に続くコンポーネントを引き出します。人間が全身麻酔状態にある場合には、初期EPは拡大する場合さえある一方、後に続くERPのコンポーネントは消失します。しかし、当然ながら患者にはどのような感覚も生じません。同様に、単発の皮膚パルスの強さを、覚醒した健常な被験者が何も感じないと報告するレベルにまで下げた場合、後に続くERPコンポーネントは突然になくなりますが、はっきりとわかる初期EP反応は依然として感覚皮質で記録することができるのです(リベット他(1967年))。
 したがって、《皮膚への単発のパルス》の後に生じる大脳皮質の《後からの》反応が、意識感覚を生み出すのに必要であるらしい、ということになります。これらの遅い反応は、事実上、仮定されているアウェアネスの遅れに必要な活性化をするのに十分な、0.5秒以上の間持続します。そしてこの現象は皮膚への正常な感覚刺激でも起こります。しかしながら、意識感覚に必要な、後から誘発されるコンポーネントの実際の最小限の時間の長さがどれほどかは、まだ立証されていません。また後からの反応のうち特定のコンポーネントが、アウェアネスの特別な作用因子である可能性も、まだ証明されていません。」
(ベンジャミン・リベット(1916-2007),『マインド・タイム』,第2章 意識を伴う感覚的なアウェアネスに生じる遅延,岩波書店(2005),pp.54-58,下條信輔(訳))
(索引:初期誘発電位,初期EP,事象関連電位,ERP)

マインド・タイム 脳と意識の時間


(出典:wikipedia
ベンジャミン・リベット(1916-2007)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「こうした結果によって、行為へと至る自発的プロセスにおける、意識を伴った意志と自由意志の役割について、従来とは異なった考え方が導き出されます。私たちが得た結果を他の自発的な行為に適用してよいなら、意識を伴った自由意志は、私たちの自由で自発的な行為を起動してはいないということになります。その代わり、意識を伴う自由意志は行為の成果や行為の実際のパフォーマンスを制御することができます。この意志によって行為を進行させたり、行為が起こらないように拒否することもできます。意志プロセスから実際に運動行為が生じるように発展させることもまた、意識を伴った意志の活発な働きである可能性があります。意識を伴った意志は、自発的なプロセスの進行を活性化し、行為を促します。このような場合においては、意識を伴った意志は受動的な観察者にはとどまらないのです。
 私たちは自発的な行為を、無意識の活動が脳によって「かきたてられて」始まるものであるとみなすことができます。すると意識を伴った意志は、これらの先行活動されたもののうち、どれが行為へとつながるものなのか、または、どれが拒否や中止をして運動行動が現れなくするべきものなのかを選びます。」
(ベンジャミン・リベット(1916-2007),『マインド・タイム』,第4章 行為を促す意図,岩波書店(2005),pp.162-163,下條信輔(訳))
(索引:)

ベンジャミン・リベット(1916-2007)
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