想像力と感情
【ある感情を、他の感情によってどう制御し変化させるかについての研究は、道徳と政治に関することがらに特別に役だつ。想像力により感情が静められ、あるいは燃え立たされ、行動が抑制され、あるいは発動する。(フランシス・ベーコン(1561-1626))】想像力と感情、感情どおしの相互作用の研究は、道徳と政治に関することがらに特別役だつものである。
(a) 想像力により、どのように感情が燃え立たされ、かき立てられるか。抑えられていた感情が、どのようにして外に出るか、それがどう活動するか。
(b) 想像力により、感情がどのように静められ、抑えられるか。感情が行動に発展するのをどう抑制されるか。
(c) それらの感情がどのように重なりあうか、どのようにたがいに戦い対立し合うか。ある感情が、他の感情によってどのように制されるか。どう変化するか。
「詩人と歴史の著述家がこの認識の最上の教師であって、われわれは、そこにつぎのようなことがいきいきと描かれているのを見る。
すなわち、どのように感情がもえたたされ、かきたてられるか、それがどのようにしずめられ、抑えられるか、そしてまた、それが行動に発展するのをどう抑制されるか、抑えられたものがどのようにして外に出るか、それがどう活動するか、どう変化するか、それがどうつのってはげしくなるか、それらの感情がどのように重なりあうか、それらがどのようにたがいに戦い角つきあうかなどといったことが一つ一つ描かれている。
それらのうち、最後にあげたことが、道徳と政治に関することがらには特別に役だつものである。
くりかえしていえば、それは、どのようにして感情をたがいに対立させあい、他方によって一方を制するかということである。」
(フランシス・ベーコン(1561-1626)『学問の進歩』第二巻、二二・六、pp.293-294、[服部英次郎、多田英次・1974])
(索引:感情、情念、道徳、政治、想像力)
(出典:wikipedia)
「不死こそ、子をうみ、家名をあげる目的であり、それこそ、建築物と記念の施設と記念碑をたてる目的であり、それこそ、遺名と名声と令名を求める目的であり、つまり、その他すべての人間の欲望を強めるものであるからである。そうであるなら、知力と学問の記念碑のほうが、権力あるいは技術の記念碑よりもずっと永続的であることはあきらかである。というのは、ホメロスの詩句は、シラブル一つ、あるいは文字一つも失われることなく、二千五百年、あるいはそれ以上も存続したではないか。そのあいだに、無数の宮殿と神殿と城塞と都市がたちくされ、とりこわされたのに。」(中略)「ところが、人びとの知力と知識の似姿は、書物のなかにいつまでもあり、時の損傷を免れ、たえず更新されることができるのである。これを似姿と呼ぶのも適当ではない。というのは、それはつねに子をうみ、他人の精神のなかに種子をまき、のちのちの時代に、はてしなく行動をひきおこし意見をうむからである。それゆえ、富と物資をかなたからこなたへ運び、きわめて遠く隔たった地域をも、その産物をわかちあうことによって結びつける、船の発明がりっぱなものであると考えられたのなら、それにもまして、学問はどれほどほめたたえられねばならぬことだろう。学問は、さながら船のように、時という広大な海を渡って、遠く隔たった時代に、つぎつぎと、知恵と知識と発明のわけまえをとらせるのである。」
(フランシス・ベーコン(1561-1626)『学問の進歩』第一巻、八・六、pp.109-110、[服部英次郎、多田英次・1974])(索引:学問の船)
フランシス・ベーコン(1561-1626)
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「不死こそ、子をうみ、家名をあげる目的であり、それこそ、建築物と記念の施設と記念碑をたてる目的であり、それこそ、遺名と名声と令名を求める目的であり、つまり、その他すべての人間の欲望を強めるものであるからである。そうであるなら、知力と学問の記念碑のほうが、権力あるいは技術の記念碑よりもずっと永続的であることはあきらかである。というのは、ホメロスの詩句は、シラブル一つ、あるいは文字一つも失われることなく、二千五百年、あるいはそれ以上も存続したではないか。そのあいだに、無数の宮殿と神殿と城塞と都市がたちくされ、とりこわされたのに。」(中略)「ところが、人びとの知力と知識の似姿は、書物のなかにいつまでもあり、時の損傷を免れ、たえず更新されることができるのである。これを似姿と呼ぶのも適当ではない。というのは、それはつねに子をうみ、他人の精神のなかに種子をまき、のちのちの時代に、はてしなく行動をひきおこし意見をうむからである。それゆえ、富と物資をかなたからこなたへ運び、きわめて遠く隔たった地域をも、その産物をわかちあうことによって結びつける、船の発明がりっぱなものであると考えられたのなら、それにもまして、学問はどれほどほめたたえられねばならぬことだろう。学問は、さながら船のように、時という広大な海を渡って、遠く隔たった時代に、つぎつぎと、知恵と知識と発明のわけまえをとらせるのである。」
(フランシス・ベーコン(1561-1626)『学問の進歩』第一巻、八・六、pp.109-110、[服部英次郎、多田英次・1974])(索引:学問の船)
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