力量、性格、運命
【時代が要求し、尊重されるような力量や資質を知ること。そして、自分の性格を知ること。もし、これら条件どおりに自分を変えることが可能なら、運命に翻弄されることも少なくなろう。しかし、これは難しい。(フランチェスコ・グィッチャルディーニ(1483-1540))】(a) 君が生きている時代が要求し、その時代において尊重される力量や資質を知ること。
(b) そして、自分の力量や資質、性格を理解すること。
(c) さて、もし君が自分の性格を、時代が要求する条件どおりに変えることができ、必要な力量と資質を得ることが可能なら、運命に支配されるということも、ずいぶん少なくなるであろう。
(d) ところが、これはとても難しい。恐らく不可能であろう。これが、運命の力が猛威をふるう理由である。もし君が、自分の自負する力量や資質が尊重されるような時代に、たまたま生を享けているのなら、それは君の幸運である。
「たとえ君が、すべてのことがらを慎重と力量に帰して、できるだけ運命の力を排除しようと考えようとしても、君は少なくとも以下のことはみとめなければならない。
つまり君の自負する力量や資質が尊重されるような時代に、たまたま出くわして生を享けているという事実のおかげを大いにこうむっていることを知っておかなければなるまい。
この点については、ファビウス・マキシムスの実例を見るがよい。彼はその優柔不断の性格が幸いして大へんな名声を博した人物である。その彼は、気が早いと失敗し、反対にぐずぐず手間どっていると有利に事が運んでいくような戦いを指揮したからである。
これとは別の時期には、以上とは正反対の現象がおこりえたはずだ。だからファビウスが幸運であったのは、その時代が彼がそなえているような性格を必要としたからなのである。
もし人間が自分の性格を、時代が要求する条件どおりに変えることができるのなら、(これはとてもむずかしい、おそらく不可能ではあろうが)運命に支配されるということはずいぶん少なくなるであろう。」
(フランチェスコ・グィッチャルディーニ(1483-1540)『リコルディ』(日本語名『フィレンツェ名門貴族の処世術』)C、31 時代に合うこと、p.67、講談社学術文庫(1998)、永井三明(訳))
(索引:力量、性格、運命)
(出典:wikipedia) |
「この書物の各断章を考えつくのはたやすいことではないけれども、それを実行に移すのはいっそうむずかしい。それというのも、人間は自分の知っていることにもとづいて行動をおこすことはきわめて少ないからである。したがって君がこの書物を利用しようと思えば、心にいいきかせてそれを良い習慣にそだてあげなければならない。こうすることによって、君はこの書物を利用できるようになるばかりでなく、理性が命ずることをなんの抵抗もなしに実行できるようになるだろう。」 (フランチェスコ・グィッチャルディーニ(1483-1540)『リコルディ』(日本語名『フィレンツェ名門貴族の処世術』)B、100 本書の利用のし方、p.227、講談社学術文庫(1998)、永井三明(訳)) |
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