野心の3つの種類
【野心の3つの種類:(1)自己の力を伸ばす、(2)祖国の力を伸ばす、(3)人類の力を伸ばす。より健全で高貴なのは(3)だ。そして、力の伸長に肝要なのは、自然はこれに従うこと(知識)なくしては、命令されない(技術)ということだ。(フランシス・ベーコン(1561-1626))】野心の三つの種類
(1) 自己の力を伸ばそうと欲すること。
(2) 祖国の勢力と支配を人類の間で伸長すること。
(3) 人類の全世界への力と支配とを、革新し伸長すること。
(3)は他のものに比べて、より健全でもあればより高貴でもある。そして、人間の事物への支配は、ただ技術と知識のうちにある。なぜなら自然は、これに従うことなくしては、命令されないからである。
「人々の野心の三つの種類、いわば程度を区別することも、不適当ではないだろう。第一は、自分の祖国において、自己の力を伸ばそうと欲する人々のそれであって、この類の野心は通俗的で、また変性している。第二は、祖国の勢力と支配とを、人類の間に伸長することに努める人々のそれであって、これは前のより品格はあるが、しかし劣らず欲望に動かされている。
ところがもしも人が、人類そのものがもつ全世界への力と支配とを、革新し伸長することに努めるとしたならば、疑いもなくその野心こそ(かりにもそう呼んでいいとしたら)は、残余のものに比べて、より健全でもあればより高貴でもある。しかるに人間の事物への支配は、ただ技術と知識のうちにある。自然はこれに従うことなくしては、命令されないからである。」
(フランシス・ベーコン(1561-1626)『ノヴム・オルガヌム』アフォリズム 第一巻、一二九、pp.195-196、[桂寿一・1978])
(索引:野心の3つの種類、知識と技術)
フランシス・ベーコン(1561-1626)
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(フランシス・ベーコン(1561-1626)『ノヴム・オルガヌム』アフォリズム 第一巻、一二九、pp.195-196、[桂寿一・1978])
(索引:野心の3つの種類、知識と技術)
(出典:wikipedia) |
「不死こそ、子をうみ、家名をあげる目的であり、それこそ、建築物と記念の施設と記念碑をたてる目的であり、それこそ、遺名と名声と令名を求める目的であり、つまり、その他すべての人間の欲望を強めるものであるからである。そうであるなら、知力と学問の記念碑のほうが、権力あるいは技術の記念碑よりもずっと永続的であることはあきらかである。というのは、ホメロスの詩句は、シラブル一つ、あるいは文字一つも失われることなく、二千五百年、あるいはそれ以上も存続したではないか。そのあいだに、無数の宮殿と神殿と城塞と都市がたちくされ、とりこわされたのに。」(中略)「ところが、人びとの知力と知識の似姿は、書物のなかにいつまでもあり、時の損傷を免れ、たえず更新されることができるのである。これを似姿と呼ぶのも適当ではない。というのは、それはつねに子をうみ、他人の精神のなかに種子をまき、のちのちの時代に、はてしなく行動をひきおこし意見をうむからである。それゆえ、富と物資をかなたからこなたへ運び、きわめて遠く隔たった地域をも、その産物をわかちあうことによって結びつける、船の発明がりっぱなものであると考えられたのなら、それにもまして、学問はどれほどほめたたえられねばならぬことだろう。学問は、さながら船のように、時という広大な海を渡って、遠く隔たった時代に、つぎつぎと、知恵と知識と発明のわけまえをとらせるのである。」 (フランシス・ベーコン(1561-1626)『学問の進歩』第一巻、八・六、pp.109-110、[服部英次郎、多田英次・1974])(索引:学問の船) |
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