将来の見通し
【将来については悲観的によりも、むしろ楽観的に考えよ。なぜなら、全く不確実な未来のために、現在の幸運を逃すことが多いから。暗い見通しの実現性、切迫度、良い面と悪い面を見極めよ。(フランチェスコ・グィッチャルディーニ(1483-1540))】(1) 将来については悲観的によりも、むしろ楽観的に考えよ。
(2) なぜなら、将来の暗い見通しを恐れるあまり、現在うまく運んでいることを投げ出してしまうことは、たいていの場合、愚かしいことである。ものごとを悲観的に見るばかりに、君が当然手に入れてしかるべき幸運を逃してしまうことが、実によくあるものだ。
(3) また、そもそも将来の事柄というのは、まことに当てにならぬものであり、また多くの思いがけないできごとに左右されるものなので、あなたの見通しも実現するかどうかわからない。
(4) ただし、見通しが暗いということが動かせぬ事実である場合とか、あるいはそれが切迫している場合、または良い面よりも悲観的な面がはるかに大きいことが明確なら、話は別である。
「将来のことがらというのは、まことに当てにならぬものであり、また多くの思いがけないできごとに左右されるものなので、すばらしく賢明な人間でも、将来の見通しで誤りを犯すことは非常に多いものだ。
賢人たちの見通し、とくに細かい点についての見通しを観察する人は(それらは一般に推測しやすいものだ)、それらの見通しは賢明とはいえないほかの人々の見通しと大差がないものであることに気がつくだろう。
だから、将来の暗い見通しをおそれるあまり、現在うまく運んでいることを投げ出してしまうことは、たいていのばあい愚かしいことである。
ただし、見通しが暗いということが動かせぬ事実であるばあいとか、あるいはそれが切迫しているばあい、または良い面よりも悲観的な面がはるかに大きいということが判りきっている時には、話は別なのだが。
以上のような立場にたたずに、将来は悪くなっていくだろうと、ものごとを悲観的に見るばかりに、君が当然手に入れてしかるべき幸運を逃してしまうことが、実によくあるものだ。」
(フランチェスコ・グィッチャルディーニ(1483-1540)『リコルディ』(日本語名『フィレンツェ名門貴族の処世術』)C、23 運命の力、p.62、講談社学術文庫(1998)、永井三明(訳))
(索引:将来の見通し)
(出典:wikipedia) |
「この書物の各断章を考えつくのはたやすいことではないけれども、それを実行に移すのはいっそうむずかしい。それというのも、人間は自分の知っていることにもとづいて行動をおこすことはきわめて少ないからである。したがって君がこの書物を利用しようと思えば、心にいいきかせてそれを良い習慣にそだてあげなければならない。こうすることによって、君はこの書物を利用できるようになるばかりでなく、理性が命ずることをなんの抵抗もなしに実行できるようになるだろう。」 (フランチェスコ・グィッチャルディーニ(1483-1540)『リコルディ』(日本語名『フィレンツェ名門貴族の処世術』)B、100 本書の利用のし方、p.227、講談社学術文庫(1998)、永井三明(訳)) |
フランチェスコ・グィッチャルディーニ(1483-1540)
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