2018年9月9日日曜日

共感覚が、実在の感覚現象であることを示す疑いの余地のない明白な証拠。この方法によれば、にせものと本物の共感覚を弁別するために使えるだけでなく、共感覚の能力を持っている人も探し出せる。(ヴィラヤヌル・S・ラマチャンドラン(1951-))

共感覚

【共感覚が、実在の感覚現象であることを示す疑いの余地のない明白な証拠。この方法によれば、にせものと本物の共感覚を弁別するために使えるだけでなく、共感覚の能力を持っている人も探し出せる。(ヴィラヤヌル・S・ラマチャンドラン(1951-))】

 「この実験をするにあたって、私たちはまず、図3-4によく似た図を正常な学生20名に見せて、(小さな2からなる)広域的な形を探すように指示した。一部の図は広域的な形を三角形にし、そのほかのものは円にした。私たちはそれらの図をランダムな順序で、コンピュータ画面に約0.5秒間ずつ表示した。くわしく見るには短すぎる時間である。被験者の学生たちはそれぞれの図を見たあとに、2つのボタンのいずれかを押して、いま見せられたものが三角形だったか円だったかを答える。学生の正答率は50パーセントで、言いかえれば彼らは、自然に形を識別できるわけではないので、当て推量をしていただけだった。」
図3-4(ラマチャンドラの当書籍p.136の図を参考に作成した)
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 「しかし色をつけて5を緑に2を赤にすると(図3-5)、正当率は80ないしは90パーセントにあがった。ためらったり考えたりすることなく、即座に形が見えるようになったからだ。
 驚いたのは、白黒の画面をミラベルに見せたときだった。彼女は、非共感覚者とはちがって、80から90パーセントの試行において、形を識別することができた――あたかも数字が実際に色分けしてあるかのように! 共感覚で誘発された色は、広域的な形を発見し報告することを可能にするという点で、実在の色と同じく有効だったのである。この実験結果は、ミラベルの誘発された色が本物の色の感覚であることを示す確たる証拠である。彼女がでっちあげようとすることは絶対に不可能だし、子ども時代の記憶のせいだということもありえないし、これまでに提起されたそのほかのどんな説もあてはまらない。
 エドと私は、フランシス・ゴールトン以来初めて、共感覚が実在の感覚現象であることを示す疑いの余地のない明白な証拠――一世紀あまりも科学者の手からのがれていた証拠――が、私たちの(グループ化とポップアップの)実験から得られたことを実感した。しかも私たちの画像は、にせものと本物の共感覚を弁別するために使えるだけでなく、隠れ共感覚者(共感覚の能力をもっているかもしれないのにそれを自覚していない人たちや、それを進んで認める気のない人たち)を探しだすのにも使える。」
図3-5(ラマチャンドラの当書籍p.136の図を参考に作成した)
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(ヴィラヤヌル・S・ラマチャンドラン(1951-),『物語を語る脳』,第3章 うるさい色とホットな娘――共感覚,(日本語名『脳のなかの天使』),角川書店(2013),pp.136-138,山下篤子(訳))
(索引:共感覚)

脳のなかの天使



(出典:wikipedia
ヴィラヤヌル・S・ラマチャンドラン(1951-)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「バナナに手をのばすことならどんな類人猿にもできるが、星に手をのばすことができるのは人間だけだ。類人猿は森のなかで生き、競いあい、繁殖し、死ぬ――それで終わりだ。人間は文字を書き、研究し、創造し、探究する。遺伝子を接合し、原子を分裂させ、ロケットを打ち上げる。空を仰いでビッグバンの中心を見つめ、円周率の数字を深く掘り下げる。なかでも並はずれているのは、おそらく、その目を内側に向けて、ほかに類のない驚異的なみずからの脳のパズルをつなぎあわせ、その謎を解明しようとすることだ。まったく頭がくらくらする。いったいどうして、手のひらにのるくらいの大きさしかない、重さ3ポンドのゼリーのような物体が、天使を想像し、無限の意味を熟考し、宇宙におけるみずからの位置を問うことまでできるのだろうか? とりわけ畏怖の念を誘うのは、その脳がどれもみな(あなたの脳もふくめて)、何十億年も前にはるか遠くにあった無数の星の中心部でつくりだされた原子からできているという事実だ。何光年という距離を何十億年も漂ったそれらの粒子が、重力と偶然によっていまここに集まり、複雑な集合体――あなたの脳――を形成している。その脳は、それを誕生させた星々について思いを巡らせることができるだけでなく、みずからが考える能力について考え、不思議さに驚嘆する自らの能力に驚嘆することもできる。人間の登場とともに、宇宙はにわかに、それ自身を意識するようになったと言われている。これはまさに最大の謎である。」
(ヴィラヤヌル・S・ラマチャンドラン(1951-),『物語を語る脳』,はじめに――ただの類人猿ではない,(日本語名『脳のなかの天使』),角川書店(2013),pp.23-23,山下篤子(訳))

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