2018年7月12日木曜日

記号の意義(思想)の世界は、外的世界、表象の世界とは異なる、第三の領域の世界である。(ゴットロープ・フレーゲ(1848-1925))

記号の意義(思想)の世界

【記号の意義(思想)の世界は、外的世界、表象の世界とは異なる、第三の領域の世界である。(ゴットロープ・フレーゲ(1848-1925))】

(a) 外的世界
(b) 表象の世界
(c) 記号の意義(思想)の世界
 外的世界のように感覚によって知覚されないという点では、表象の世界と似ている。
 表象の担い手である特定の人に依存しないという点では、外的世界と似ている。
 「例えば、我々がピタゴラスの定理で言表する思想は、無時間的に真であり、誰かがそれを真と見なすかどうかということとは独立に真なのである。思想はいかなる担い手も要しない。ちょうどある惑星がそれを誰かが見つける以前に既に他の惑星との相互関係にあるのと同様に、思想はそれが発見されてはじめて真となるのではない。」

(再掲)
命題  → 命題の意義  → 命題の意味
      (思想)     (真理値)
固有名 → 固有名の意義 → 固有名の意味
                (対象)
概念語 → 概念語の意義 → 概念語の意味
                (概念)
                 ↓
               当の概念に包摂
               される対象

 「思想は外的世界の諸物でもなければ、表象でもない。第三の領域が承認されねばならない。これに属するものは、それが感官をもってしては知覚されえないという点においては、表象と一致する。が、しかしそれは、それが属するその意識内容のいかなる担い手も必要としないという点においては[外的]諸物と一致する。かくて例えば、我々がピタゴラスの定理で言表する思想は、無時間的に真であり、誰かがそれを真と見なすかどうかということとは独立に真なのである。思想はいかなる担い手も要しない。ちょうどある惑星がそれを誰かが見つける以前に既に他の惑星との相互関係にあるのと同様に、思想はそれが発見されてはじめて真となるのではない。」
(ゴットロープ・フレーゲ(1848-1925)『思想――論理探究[一]』69、フレーゲ著作集4、p.219、野本和幸)
(索引: 記号の意義(思想)の世界)

フレーゲ著作集〈4〉哲学論集


(出典:wikipedia
ゴットロープ・フレーゲ(1848-1925)の命題集(Collection of propositions of great philosophers) 「1. 思考の本質を形づくる結合は、表象の連合とは本来異なる。
2. 違いは、[思考の場合には]結合に対しその身分を裏書きする副思想(Nebengedanke)が存在する、ということだけにあるのではない。
3. 思考に際して結合されるものは、本来、表象ではなく、物、性質、概念、関係である。
4. 思想は、特殊な事例を越えてその向こう側へと手を伸ばす何かを常に含んでいる。そして、これによって、特殊な事例が一般的な何かに帰属するということに気づくのである。
5. 思想の特質は、言語では、繋辞や動詞の人称語尾に現われる。
6. ある結合[様式]が思想を形づくっているかどうかを識別するための基準は、その結合[様式]について、それは真であるかまたは偽であるかという問いが意味を持つか否かである。
7. 真であるものは、私は、定義不可能であると思う。
8. 思想を言語で表現したものが文である。我々はまた、転用された意味で、文の真理についても語る。
9. 文は、思想の表現であるときにのみ、真または偽である。
10.「レオ・ザクセ」が何かを指示するときに限り、文「レオ・ザクセは人間である」は思想の表現である。同様に、語「この机」が、空虚な語でなく、私にとって何か特定のものを指示するときに限り、文「この机はまるい」は思想の表現である。
11. ダーウィン的進化の結果、すべての人間が 2+2=5 であると主張するようになっても、「2+2=4」は依然として真である。あらゆる真理は永遠であり、それを[誰かが]考えるかどうかということや、それを考える者の心理的構成要素には左右されない
12. 真と偽との間には違いがある、という確信があってはじめて論理学が可能になる。
13. 既に承認されている真理に立ち返るか、あるいは他の判断を利用しないかのいずれか[の方法]によって、我々は判断を正当化する。最初の場合[すなわち]、推論、のみが論理学の対象である。
14. 概念と判断に関する理論は、推論の理論に対する準備にすぎない。
15. 論理学の任務は、ある判断を他の判断によって正当化する際に用いる法則を打ち立てることである。ただし、これらの判断自身は真であるかどうかはどうでもよい。
16. 論理法則に従えば判断の真理が保証できるといえるのは、正当化のために我々が立ち返る判断が真である場合に限る。
17. 論理学の法則は心理学の研究によって正当化することはできない。
」 (ゴットロープ・フレーゲ(1848-1925)『論理学についての一七のキー・センテンス』フレーゲ著作集4、p.9、大辻正晴)

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