1. 記事のテーマ
心理学者E・トーリー・ヒギンズが提唱した「自己不一致理論(Self-Discrepancy Theory)」を通して解き明かす、人間の「自分自身に対する感情(落胆・罪悪感・恥・恐れ)」のメカニズムとその心理的構造。
2. 何が問題なのか
「もっとこうなりたいのに…」と落ち込んだり、「もっとしっかりしなければ…」と自分を責めたり、「親や上司の期待に応えられていない…」と不安や恐怖を感じたりすることはありませんか?
なぜ私たちは、同じ「理想や目標に届かない」という状況であっても、ある時は『落ち込み(落胆)』を感じ、またある時は『自分への怒り(罪悪感)』や『周囲への恐怖』を感じるのでしょうか?
心のモヤモヤやネガティブな感情の正体は、一体どこから生まれてくるのでしょうか?
★3. 解答の概要
私たちが日常で味わうネガティブな感情は、単なる気分の波ではなく、「現実の自分」と「目指すべき自分」との間のギャップ(不一致)の種類によって正確にパターン化されている、という驚くべき事実があります。
本記事では、自己概念を「自分視点」と「他者視点」の掛け合わせによる6つの領域(現実自己、理想自己、あるべき自己など)に分類。
・「理想の自分」になれない時は【落胆・不満】
・「義務や規範(あるべき自分)」を果たせない時は【罪悪感・自己卑下】
・「他者の望む理想」に届かない時は【恥・当惑】
・「他者の求める義務」を果たせない時は【恐れ・危機感】
このように、私たちが感じる不快な感情の正体が「どの自己とどの自己のズレによって生じているか」を論理的に解説しています。ネガティブ感情の背後にある「自分の心の構造」がクリアに見えてくる視点は、心理学の知見ならではの驚きと納得感をもたらしてくれます。
4. 用語集(ここで勉強できること)
※重要度の高い順に掲載
・現実自己(Actual Self)
自分が「実際に持っている」と信じている属性や特徴のこと(例:「私はスポーツが得意だ」「自分は少し優柔不断だ」など)。感情の比較におけるすべての起点となる自分。
・理想自己(Ideal Self)
自分または重要他者が「こうありたい、こうなってほしい」と希望し願う属性のこと。達成できないと「落胆」や「恥」を生み出す。
・あるべき自己(Ought Self)
自分または重要他者が「持つべきだ、果たす義務がある」と感じている属性のこと。守れないと「罪悪感」や「恐れ・危機感」を生み出す。
・自己不一致理論(Self-Discrepancy Theory)
E・トーリー・ヒギンズが提唱した理論。現実自己と、理想自己・あるべき自己との間にあるズレ(不一致)が、特定の感情的苦痛を引き起こすとする心理学モデル。
・重要他者(Significant Others)
父親・母親・配偶者・上司など、自分の価値観や自己評価に強い影響を与える特定の他者のこと。「他者視点の理想/あるべき自己」を形成する要因となる。
・自己概念の視点(自身 vs 他者)
自己概念は「自分自身がどう思っているか(自身)」だけでなく、「価値ある他者が自分をどう見ていると思っているか(他者)」という2つの視点から多角的に構成されているという捉え方。
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