★009必ずわかる難問題5
社会学では、人類の歴史を考えます。私たちが、どのように形成されてきたのか?
前回は(3.3)を詳細にしました。
さらに追記
★(1)人類は、社会性と集団が無ければ生存できなかった。
★「アフリカ・サヴァンナでの類人猿の生存にとっての大きな障害が、社会性と凝集的な集団構造の不足であったと仮定すれば、選択力は社会性と結合を増進するためにヒト科の脳の再組織化の方向に向ったにちがいない。」(ジョナサン・H・ターナー(1942-)『感情の起源』第2章 選択力と感情の進化、p.61、明石書店 (2007)、正岡寛司(訳))
★(2)感情能力が強化されることで社会性が獲得された。
★(3)社会性を強化する感情能力に依存する6つの仕組み。
先天的に社会性が低い動物を、より社会的で凝集的に組織される種に変えるために、必要となったものである。それらすべてが、ヒト科の感情能力の綿密な仕上げに依存している。
★(3.1)感情エネルギーの動員と経路づけ
★(3.2)対面反応の調整
★(3.3)裁可
★(3.4)道徳的記号化
★(3.5)資源評価と資源交換
★(3.6)合理的意思決定
以下、詳細
★(3.1)感情エネルギーの動員と経路づけ
★(1)動物の儀礼
他の動物も儀礼を使うが、しかし彼らのそれは神経学的に固定した形で配線され、そして求愛、配偶、性的争い、縄張り保全他の非常に基本的な活動に限られている。
★(2)人間の儀礼
人間は、様々な場面で儀礼を使用し、そしてそれらを、焦点、感情状態、連帯を維持するために活用する。しかし、なぜ儀礼が必要となったのかが問題である。
★(3)人類の祖先は元来、弱い結合、移動、自律を好んだ
(a)人類の祖先は元来、弱い結合、移動、自律を好んだ。そのため、必要な水準のエネルギーを確実に生成するために、儀礼を使用する必要に迫られた。
(b)固体主義と集合主義の二元性の由来
★「ゆえに人間は二つの心から成り立っている。一つは感情エネルギーを動員するために儀礼をわれわれに使わせようとする心であり、もう一つはわれわれ類人猿の祖先の傾向を主張する心である。この二元性が人間の社会的配置とイデオロギーに映しだされる。一方でわれわれは連帯性、親密性、共同体(community)他の結合関係を渇望し、もう一方でわれわれは他者の権威、束縛、統制に反抗する。われわれは集合主義的イデオロギーを構築するが、しかし結局のところ、われわれは類人猿の祖先に押しつけるその束縛にわれわれは憤慨する。われわれは自由、自律、個体主義、そして利己主義を享受しながら、しかしなにか――社会的連帯の結合――を欠いていると感じる。」(ジョナサン・H・ターナー(1942-)『感情の起源』第2章 選択力と感情の進化、pp.64-65、明石書店 (2007)、正岡寛司(訳
★(3.3)裁可
★(1)怒りの表出
相手側が期待に適うことができなかったことに対する、当事者の怒りあるいはこの感情の変種を含んでいる。
★(2)恐怖の喚起
間違いをした側に、恐怖心あるいはこの感情の変種を喚起する。
★(3)否定的裁可の効果
否定的裁可は、ほとんどの哺乳類において原基的な感情である、怒りと恐れの感情を利用しているため、非常に効果的である。
(a)恐怖
恐怖心をもたない動物は、まもなく選択から除外される。
(b)怒り
防衛的攻撃を動員する能力をもたない動物は、逃げのびて退避できない場合に、捕食者の歯牙にかかって死ぬ運命にあるからである。
★(4)否定的裁可の問題点
否定的裁可は、恐れを喚起するだけでなく、しばしば対抗的な怒りを生む。そのため、否定的裁可は連帯を促進しない怒り-恐れ-怒りという複雑な循環を生みだす可能性がある。
★(5)否定的裁可の内在化、恥と罪の感情
(a)過去の否定的裁可が記憶され、自己行為が怒りの反応を喚起するかもしれないという恐れが、恥や罪の感情を生み出す。
(b)否定的裁可の離反的効果が取り去られる。
★(6)記憶による感情の持続化、激情化と肯定的感情の発展
★(6.1)記憶による感情の持続化と激情化
(a)ヒト科の感情レパートリーが拡張すると、激怒、憎悪、逆上、反感などの、非常に激しい感情が可能になる。
(b)また、特に記憶を貯蔵するためのヒト科の認知能力が人間の水準に達し始めたとき、激しい感情が簡単に思い起こされることは、社会的結合にとってきわめて破壊的である。
★(6.2)肯定的感情の必要性
「集団連帯は否定的感情だけに頼って構築することも、また維持することもできない。社会構造はもっと結合反応を喚起する肯定的裁可によって構築されなければならないのである(Coleman 1988,Hechter 1987)。こうした肯定的感情は恐れ-怒りほどに哺乳類にしっかり配線されてはいなかった。(中略)自尊心、愛情、喜び、恍惚、歓喜といった新しい感情が、辺縁系が満足-幸せという原基的な情動状態から構築される感情に再配線されるときに可能となった。選択は、連帯と緊密な社会結合が構築される肯定的な感情を生成できる辺縁系を作りだすために激しく働いたにちがいない。★満足-幸せという感情の広範な変種を経験し、表現し、解読するための能力を急速に構築するために働きかけうるところ――母子結合を作りだす帯状回下部などの領野、神経伝達物質を放出する脳幹のような領野、そして神経刺激性ペプチドを生産する間脳と下垂体などの領野――は、選択が働きかけるに十分であった。」(ジョナサン・H・ターナー(1942-)『感情の起源』第2章 選択力と感情の進化、pp.70-71、明石書店 (2007)、正岡寛司(訳))
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https://sententiarum2.blogspot.com/2020/06/Jonathan-H.-Turner-1942.html